思いついたときに書く日記

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読書感想 #2 : 鳥取が好きだ。水丸の鳥取民芸案内

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安西水丸さんのエッセイ、「鳥取が好きだ。水丸の鳥取民芸案内」を読んだ感想です。

 

作者について

作者の安西水丸さんは東京都で生まれ、日本大学芸術学部を卒業後に、電通、平凡社でアートディレクターとして働き、イラストレーターとしても活躍されていた方です。

この本は水丸さんが生前によく訪れていた鳥取と民芸品についてのエッセイです。

 

民芸品とは

民芸品は無名の職人の手から生まれた一般の人々が日常的に使っている生活道具のこと。

実用的な美しさや、土地の風土の影響を受け、形も色も作られる地域によって様々という特徴があります。

大量生産で手作りの民芸品が失われることを案じた人々によって、民芸品を守る運動が行われてきました。

鳥取の民芸品については、鳥取出身の吉田璋也によって守られてきたそうです。

吉田璋也は地元で耳鼻科を開業していましたが、ある工房で作られていた茶碗に魅せられたことをきっかけに、鳥取のさまざまな工房を訪ね、新作を作るように指導し民芸品を発展させてきました。

地元で民芸品を取り扱うお店「たくみ工藝店」を成功させた後、東京の銀座にもお店を展開します。

 

水丸さんと鳥取の民芸品

水丸さんが電通で働いていた時に、吉田璋也の民芸品のお店「銀座たくみ」がきっかけで鳥取の民芸品と出会います。

実用的で素朴な器や木工品に惹かれ、工房を訪ねて鳥取を何度も訪れます。

この本では水丸さんが長年集めてきたお気に入りの民芸品と工房のことが綴られています。

 

実用的で自然な美しさ

水丸さんが惹かれるものには二つの要素がありました。

  • 実用的なこと

飾るのではなく、それを使う光景が想像できるもの。

  • 自然な美しさ

技術を駆使したり奇をてらうものではなく、作り手の思いが滲み出るもの。

 

ユニークで変わったものは目を惹きますが、だんだん時代遅れに感じたり飽きてしまったりします。一方素朴で使いやすいものは、時が立つほど愛着が湧いてくるので、そういうものに惹かれる気持ちはわかるかもしれないと思いました。

 

手作りが好きな人に

私も手作りすることが好きですが、手作りしたものを見るのも好きです。

民芸品を守る運動のおかげで今でも手に取ることができることを嬉しいと思う一方で、廃業してしまったものもあることを知り、寂しさも感じました。

また、今でも手作りの良さに共感して手作りすることを趣味としている人が多いのは、民芸品が大切にされてきたことも関係しているのかもしれないと思いました。

旅行が好きな方はもちろん、手作りが好きな方にもおすすめの一冊です。